プラセンタとは?
プラセンタ(Placenta)とは、赤ちゃんが生まれた後に子宮の壁から剥がれ落ちる胎盤のことを指します。
胎盤は母体の中で胎児が育つためのベッドのような臓器で、胎児と胎盤は「へその緒」で繋がれています。
胎盤は胎児のまだ未成熟なタンパク質合成・有害物の解毒・ホルモン分泌の機能を補っている臓器です。そのため胎盤は栄養豊富。
ビタミンCを始めとする各種ビタミン・ミネラル・アミノ酸・細胞再生因子・各種酵素が含まれており、これらの成分が人体にさまざまな効果・効能を示すことが知られています。
そこで、近年では美肌など美容目的で、皮下注射や筋肉注射・点滴・サプリを飲む内服療法・頭皮や顔への塗布など、さまざまな方法で取り入れる方が増えています。
では、どのようにヒトの胎盤からプラセンタ製剤を製造しているのでしょうか?
日本で主に採用されている製法やその特徴は下記の通りです。
製法 | 特徴 |
---|---|
ラエンネック製法 (分子分画法) | ・臍帯+羊膜+胎盤を使用 ・サイトカインを含む上澄液を含む ・pH調整剤 製造過程でペプシン使用 |
メルスモン製法 (加水分解法) | ・胎盤のみを使用 ・サイトカインを含む上澄液を含まない ・痛み止めのベンジルアルコールを添加 |
ラエンネック製法では必要な成分を特殊なフィルターで事前に抽出し、最終的に上澄液として製剤に戻すため、有効成分であるサイトカインが製剤に含まれます。
一方、メルスモン製法では、塩酸で胎盤の細胞膜を破壊し内部のエキスを抽出しますが、その過程で有効成分であるサイトカインなども分解されてしまいます。
メルスモンには痛み止めのベンジルアルコールが添加されているため、注射時の痛みに弱い方にはおすすめですが、アルコールに過敏な方へのおすすめはできません。通常はより高い効果を狙えるラエンネックがおすすめです。
また、美容医療ではラエンネックと同程度の効果を示すキュラセンと呼ばれるプラセンタもよく用いられます。
キュラセンは韓国で製造・承認されており、日本では保険適応はありませんが、ラエンネックよりも分子量が小さく、皮膚からの浸透性や即効性が高いです。
皮膚に注入してシミやしわを改善したり、頭皮に注入することで薄毛改善を目指せるため、特に美容医療の領域では重宝されている薬です。
プラセンタの効用(保険診療と保険外診療)
下記のような病気に対して、厚生労働省はプラセンタ治療の保険適応を認めています。
- 45〜59歳女性の更年期障害(メルスモン)
- 乳汁分泌不全(メルスモン)
- 慢性肝疾患(ラエンネック)
それ以外にも下記のような効能が期待されるため、近年ではさまざまな疾患の保険外診療にも用いられています。
効能 | 症状 |
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自律神経の調整作用 | のぼせ・血圧異常・めまい・便秘・うつ症状やうつ病の改善 |
ホルモンバランスの調整作用 | 生理痛・生理不順・乳汁分泌不全・精力減退 |
免疫力の向上 | アレルギー疾患・リウマチ・風邪予防 |
活性酸素の除去 | しみ・そばかす・老化防止・ニキビ |
線維芽細胞の活性化によるヒアルロン酸増生 | シワ・アンチエイジング |
血行促進作用 | 疲労・冷え性・腰痛 |
肝機能増強作用 | 慢性肝疾患・二日酔い |
基礎代謝促進 解毒 | コロナ(ワクチン)後遺症 |
プラセンタのデメリット
上記のようにさまざまな効能を持つプラセンタですが、デメリットもあり、主に下記の通りです。
- 献血することができなくなる
- 疼痛・発赤・発疹などの副作用を伴うことがある
- アレルギー反応を起こすことがある
- 美容効果や美肌作用には個人差がある
- 保険適応外の場合、クリニック等によって価格差がある
プラセンタはヒトの胎盤から製造されていることから、厚生労働省によって「特定生物由来製品」とされており、細菌やウイルスが混入する可能性が危険視されています。
製剤は塩酸加水分解処理など何重もの安全処理を施されており、これまで感染症の報告例も認めていませんが、それでも感染リスクの懸念からプラセンタ注射を行った方は献血不適格者になってしまいます。
ほかにも、アレルギー反応や副作用を伴う可能性があるため、必ず医師の指示のもとで摂取・投与すべきです
また、多くの場合プラセンタは保険適応外となり、1アンプルあたりの金額は医療機関によっても異なるため、事前に医療機関のHPなどで確認しておくと良いでしょう。
プラセンタについてさらに詳しく知りたい方や、興味をお持ちの方は、ぜひ福岡県田川郡川崎町に構える古川病院をご受診ください。