《自分の細胞を信じよう!》
~オーソモレキュラー療法について~
オーソモレキュラー(Orthomolecular)療法とは、適切な栄養素を正しく取り入れ、細胞の働きを向上させて、様々な病気を治す治療法です。
そもそもの語源は、ギリシャ語で「正しい」を意味する「Ortho」と、「分子」を意味する「Molecular」を組み合わせた単語であり、日本では「栄養療法」「分子栄養学」「分子整合栄養医学」とも称されます。
1960年代、米国のライナス・ポーリング博士によって提唱されたのをきっかけに、アメリカ・カナダを中心に実践され、ビタミンやミネラル等の栄養素を正しく取り入れることで病気の予防や治療を行う医療として欧米を中心に発展したものです。
標準治療である西洋医学の場合、高血圧には降圧剤を、糖尿病には血糖降下剤を処方するなど、あくまで表面的な発生している症状に対してのいわゆる対症療法を行いますが、オーソモレキュラー療法の主な目的は根本となる原因の解決です。
治療の進め方
これまでの栄養学では、3大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂肪)をカロリーベースでバランスよく摂ることが主眼に置かれていたために、ビタミン、ミネラルの摂取が二の次でタンパク質、脂質も不足し炭水化物が過剰な傾向にありました。
オーソモレキュラー療法では、さまざまな栄養素(とくにビタミンやミネラルなどの微量栄養素)が体内のミクロ(分子)の世界で果たしている役割(補酵素・補因子)を参考に、血液データを臨床的に「深読み」します。そのうえで個々の病気ごとに治療的な効果を期待して、あるいは年齢を重ねても強くて健康的なからだを維持できるように、どのような栄養がどのくらい必要なのか、その「食べ方」を患者さんごとに指導するというものです。
したがって、それまでかかりつけ医から「データはすべて基準値内です」と説明されていた人でも、オーソモレキュラー療法では「データから鉄不足、タンパク質不足がうかがえます。またビタミンB群も不足気味で、食べものの見直しに加えて、サプリメントでこのくらい摂ったほうがいいかもしれません」などと言われたりします。
このようにして、めまい、疲れやすさ、慢性腰痛といった捉えどころのない悩みから、糖尿病などの生活習慣病まで、栄養素の過不足を調査していくことが、そのまま病気予防になり、健康長寿にもつながる。 そういうことを目指す医療がオーソモレキュラー療法であると考えていただければいいと思います。
ここでは、代表的な栄養素とその体内での働きを一部紹介します
栄養素 | 効果・効能 | |
---|---|---|
ビタミン | ビタミンA | ・肌のターンオーバーを促進 |
ビタミンB群 (B1.B2.B6.B12. パントテン酸.ナイアシン・葉酸含む) | ・エネルギー産生 ・皮膚や粘膜の抗炎症作用 ・脂質や糖質の分解 ・うつ病や統合失調症の改善など | |
ビタミンC | ・免疫力の向上 ・コラーゲン産生 ・ステロイドホルモン産生 ・鉄の吸収促進 ・メラニン産生抑制など | |
ビタミンD | ・骨や筋肉を強くする ・呼吸器系の感染症を抑制する | |
ビタミンE | ・細胞の健康維持 ・血行促進 | |
ミネラル | 鉄 | ・全身倦怠感、頭痛、めまい、眠気、躁鬱、耳鳴り、食欲不振等の改善 |
亜鉛 | ・酵素反応の活性化 ・ホルモンの合成や分泌の調整 ・妊娠の維持 | |
マグネシウム | ・心臓機能の維持 ・糖尿病、高血圧、心疾患の改善 | |
カリウム | ・血圧、筋力の調整 ・水分を保持 ・神経伝達 | |
カルシウム | ・歯や骨の構造や硬さの維持 ・出血量の低下、筋肉収縮力維持 ・神経の興奮を抑える | |
タンパク質 | ・筋肉や臓器、肌、髪、爪などの材料 ・ホルモン、代謝酵素、抗体の材料 ※上記は一例です。 | |
脂質 | ・重要なエネルギー源 ・細胞膜やホルモンの材料 ・脂溶性ビタミンの吸収を助ける ※上記は一例です。 |
上記で触れた通り、オーソモレキュラー療法といっても、食事が基本です。
今困っている症状と食事の内容に血液データを照らし合わせて質的栄養失調を見抜き、そこから導かれた必要な栄養の取り方を説明し、加えて睡眠や、運動方法、ストレス対策なども紹介しながら保険診療で可能な漢方、内服薬を併せた外来診療を行っています。
オーソモレキュラーについてさらに詳しく知りたい方や、興味をお持ちの方は、ぜひ福岡県田川郡川崎町に構える古川病院をご受診ください。